インフレの足音が聞こえてきています。
ロイターの記事によれば、日本のインフレ率は4%台で推移しており、欧米ほどの水準ではないとはいえ、すでに日銀が目指していた物価目標の2%を大幅に超過しています。
一時は緩和方向に舵を切るかと思われた米国も再燃したインフレ退治に躍起になっており、今しばらくの利上げ継続となりそうです。
我々も日々スーパーの卵や野菜の価格、あるいは1月の衝撃的な電気代の請求書などでインフレの気配を感じています。
インフレになると建設業はどうなるのでしょうか?
少し古い記事ですが、2022年9月のダイアモンドオンラインによると、
東京オリンピック・パラリンピックや大規模再開発プロジェクトによる建設ラッシュが一巡し、建設業界では受注競争が激しくなっている。そこへ折からの資材高が襲った。
東京商工リサーチの調べによると、2022年3月期を対象にした主要上場ゼネコン53社のうち、その7割に当たる37社が減益。原油や資材の価格高騰が直撃したのだ。
とあり、すでに価格高騰が大手ゼネコンの収益に影を落としています。しかしこれは昨年度末の話。資材価格はオリンピック需要ですでに高騰していたのに、これ以上まだ上がるという事でしょうか?
インフレが先行するアメリカではどうなっているのでしょうか?
こちらの記事によれば
According to various financial companies, construction sectorinflation has hit 9.5% up to June 2022 and 6% over the year to December.(各金融会社によると、建設部門のインフレ率は2022年6月までで9.5%、12月までの1年間で6%を記録している)
とあり、びっくりするくらい価格が上がっているようです。9.5%って約1割ですからね。
原価がそれだけ上がったら、余裕で利益が吹っ飛びます。
Unfortunately, construction companies that work on fixed prices are usually the ones that suffer the most from inflation. (残念ながら、価格がフィックスしている建設会社は、インフレの影響を最も受けるのが普通である。
と、洋の東西を問わない請負の悲哀さが伝わってきます。
またインフレは賃上げ圧力にもなってきます。物価が上がるだけで賃金が上がらないんじゃ食べていけないですからね。
こちらの記事によれば、
国土交通省は、総合評価落札方式の入札で2022年4月に導入した賃上げ表明企業への加点制度について、8月末時点で参加者の6割以上が加点を受けていると明らかにした。落札者に限定すると約7割が加点されていた。
とあり、令和5年度からは国土交通省の労務単価が5.2%と、9年ぶりの引き上げ幅になっており、最終価格への転嫁が始まっていると言えます。
個別の建設業者だけでなく、建設業界自体の萎縮も心配です。何もこんな物が高い時に投資しなくてもいいんじゃないか、という個人や企業の消費マインド低下が予測されるからです。
建設業を経営するにあたり、適切なコスト管理を徹底し、これまで以上に市場のニーズに敏感に応対していく必要に迫られそうです。
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