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  • 執筆者の写真翔 山﨑

ユニクロ。初任給30万円の衝撃!



「ユニクロ」「ジーユー」などを展開する国内アパレル最大手、ファーストリテイリングが従業員の大幅な給与アップを決定した、というニュースが日本に衝撃を与えています。新卒の初任給を大幅に引き上げ、30万円となる、などと報道されています。

確かに人手不足が深刻化する日本にとって、賃上げは必要なことだと思いますが、新卒30万円とはすごい数字です。既存社員の給与も上げなくては不満が出ると思うので、かなりの人件費アップになります。

給与はもろに販管費なので、企業の営業利益からがっつり引かれます。

どこからそんなお金が出てくるのでしょうか?

ユニクロの今回のニュースについて見ていきたいと思います。


誰の給与が上がるのか?


まず、今回の給与引き上げは誰がその対象になるのでしょうか?ユニクロの社員全員なのでしょうか?ニュースを見てみましょう。



① 職種・階層別に求められる能力や要件を定義し、各従業員に付与している「グレード」の報酬水準を数%~約40%アップ
② フラットで機動性が高い組織運営の実態に沿うよう、従来の役職手当などは取りやめ、それぞれの報酬は、基本給と各期の業績成果によって決まる賞与などによって構成

となっています。

どうやら従業員には「グレード」というものが付与されおり、それによってアップする報酬が異なるようです。一律40%ではないのですね。


また、それぞれの報酬は「役職手当などは取りやめ」、「基本給と各期の業績成果によってきまる賞与などによって構成」と書かれているので、手当がなくなり、賞与を含んだ数字、ということのようです。


また、以下のような具体例が示されています。


・現行25万5000円である新入社員の初任給を30万円に(年収で約18%アップ)
・入社1~2年目で就任する新人店長は月収29万円を39万円に(年収で約36%アップ)
・その他の従業員も、年収で数%~約40%の範囲でアップ

国内正社員の8400人ほどが対象となり、国内の人件費総額は前年比15%ほど増える見込みという。

どうやら、社員全員の給与が上がるわけではないようです。ユニクロの2022年8月期のファクトブックを見てみると、国内の常勤雇用者は12,698人となっているので、66%の正社員が対象となるようですね。



初任給30万円は「グローバルリーダー候補」


ユニクロの現行の給与体系はどうなっているのでしょうか?もちろん細かいことは知る由もありませんが、HPの求人の内容を見てみましょう。


ファーストリテイリングの募集要項を見てみると、「グローバルリーダー候補」と「地域正社員」という区分があるようです。

初任給に関しては、


グローバルリーダー候補 月額 255,000 円

地域正社員 177,500円~202,800円


となっていますから、今回の具体例で示された新入社員とは、グローバルリーダー候補ということになるようです。


グローバルリーダー候補とはどういう仕事をする人なのでしょうか?

HPには、


世界に通用する実力を身につけ活躍したい人。
全国勤務(海外転勤の可能性あり)

とあるだけで、仕事内容はよくわかりません。

逆に地域正社員とはどういう仕事なのでしょう?


店長代行候補者として、各ブランドの店舗運営スタッフからスタートします。
その後、本人の希望と資格取得により店長、エリアマネージャー、グローバルリーダー(総合職、全国転勤あり)など様々なキャリアを広げていきます。

とあり、店長・マネージャー候補のような位置づけで、最終目標がグローバルリーダーということのようです。

つまり、グローバルリーダーとは、店長やエリアマネージャーよりも上の役職だということのようです。


FAQにも具体的な仕事内容は載っていないのですが気になる記載が。


毎年3月と9月の年2回、入社のタイミングがございます。(但し、入社タイミングによりエントリー期限があります)尚、ご希望の方には入社前に店舗でのアルバイトもご用意しています。
※9月入社はユニクロ・グローバルリーダー候補職のみです。

UNIQLO・グローバルリーダー候補職は9月入社??普通日本の正社員を雇用するなら卒業後の4月入社が一般的です。9月入社は、どちらかと言えば卒業が8月となる海外の学校を想定しているような。

またFAQには、


Q 外国籍ですが応募は可能ですか?
A 国籍による制約や制限は一切ありません。ですが、日本語を使用する機会が多いため、一定の日本語能力は必要です。

とあり、一定の日本語能力、とあることから、必ずしも完璧な日本語を話せる必要はないようです。


東洋経済にも、今回の賃上げの目的について、「世界基準での競争力をつけるため」と書いてあり、これはつまり、文字通りグローバルな人材獲得のための賃上げ、と考えた方がよさそうです。


人手不足から人材確保が難しい上に、昨今はネットやテレビなどで日本の凋落が語られ、優秀な若者は日本から脱出しろ、という論調も聞かれます。

是非は別として、ファーストリテイリングはこうした人材の確保のために今回の賃上げを決定したということのようです。


グローバル企業の優位性


私は九州の田舎の方で生まれたのですが、九州の企業に就職するのと、全国展開している企業に就職するのでは、給与に凄い差がありました。九州で働くとしても、給与水準は全国展開している企業の水準となるので、相対的に給与が高くなるのです。

これは、東京-地方、で起きていたことが、グローバル企業-日本で起こるということを暗示していると言えます。

東洋経済の記事でも、『日本人の平均給与は2021年で443万円だ。これはずっと上がらないといわれてきた。正確には、賃上げは微小になされているのだが、物価の値上がりで実質賃金は下がっている。厚生労働省が1月6日に発表した2022年11月の毎月勤労統計調査(速報)では実質賃金は前年比3.8%下落となり、8カ月連続のマイナス。それだけではなく、2014年5月以来の大幅なマイナスであり、物価の上昇ペースに賃金の上昇がまるで追いついていない』となっており、グローバル企業とそうでない企業との賃金格差は開いていく一方かもしれません。




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