2021年度に過去最低を記録した建設業の倒産件数ですが、2022年度、一転増加に転じました。
日経クロステックによれば、
建設業の2022年の倒産件数が14年ぶりに増加した。実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済本格化や資材価格高騰などが、中小・零細建設会社の経営を圧迫したとみられる。
建設業では、ゼロゼロ融資などを受けた後に経営が改善せず倒産する「コロナ融資後倒産」が急増している。全業種では前年比2.3倍の384件。このうち建設業は前年の約3倍の85件と業種別で最多となった。
とあり、いわゆるゼロゼロ融資の反動が出てきたこと、物価高の資材価格高騰が、企業経営に大きなダメージとなっているようです。
また、Yahooニュース!の記事では、
「賃上げ倒産」急増の前兆 従業員の転退職で倒産、3年ぶり増加
多くの産業で人手不足感がピークに達した2019年以来、3年ぶりの増加となった。22年の人手不足倒産に占める「従業員退職型」の割
合は40.7%となり、21年(46件/111件、41.4%)に続き高水準で推移した。
2022年の「従業員退職型」を業種別にみると、人手不足倒産に占める割合が最も高いのは建設業で50.0%と半数を占めた。建築士や施工管理者など、業務遂行に不可欠な資格を持つ従業員の離職により、事業運営が困難になった企業などが目立つ。
とあり、人手不足のダメージが、建設業においてもっとも深刻であることが分かります。棒線引いときましたが、やっぱり資格は大事ですね。勉強しなきゃ。
「ゼロゼロ融資」「
物価高」「人手不足」が大きな要因のようですが、どれ一つとして中小・零細企業単体の努力では改善できないところが痛いですね。
『特に、建築士や施工管理者など、業務遂行に不可欠な資格を持つ従業員の離職』は、より条件の良い企業に従業員が移動したのでしょうから、中小・零細の経営資源では難しい局面だと思います。やはり、企業規模を大きくしていくしか手段はなさそうですね。
最初に紹介した日経クロステックの記事ではさらに、
「これまで多くの中小建設会社が過剰債務を抱えるなか、ゼロゼロ融資で安易に借り入れを増やし、さらに債務が膨れ上がった。金融
機関からつなぎ融資を受けたくても、現状以上の融資は受けにくい」。帝国データバンク情報取材課の箕輪陽介副係長はこう説明する。工事を受注しても建機のリース料金などが払えず、倒産するパターンが多いという。
と帝国データバンクの見解を紹介しており、『工事を受注しても建機のリース料金などが払えず、倒産するパターンが多い』という、キャッシュフローに依存したこれまでの建設業の構造的問題も指摘しています。
『ゼロゼロ融資の返済開始時期は22年12月~23年6月にピークを迎える』とありますので、倒産件数はまだまだ増加すると考え
られます。
日経クロステックは、実際にはすでに経営難に陥っていた企業を不合理に救済した、いわゆる「ゾンビ企業」について指摘しています。
ゼロゼロ融資は、実質的に経営が破綻しているのに金融支援で存続している「ゾンビ企業」を増やした側面がある。22年はゾンビ企業の倒産が332件と前年から12.9%増えた。増加に転じたのは3年ぶり。このうち建設業は152社で、全ゾンビ企業の倒産数の45.8%に上る。
建設業、ゾンビ多ッ。
建設業は、工事完工基準という特殊な会計手法をとるので、債務超過が発見しにくいという問題もありますね。
いずれにしても、2023年度は、建設業にとって大変な年になることは間違いなさそうです。
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