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  • 執筆者の写真翔 山﨑

若者の建設業のイメージについて海外の論文を読んでみた

更新日:2023年1月17日



私自身は海外で仕事をしたことがないのですが、多くの海外から来た建設業従事者と一緒に仕事をした経験があります。

アメリカ人、ドイツ人、スペイン人、シンガポール人、イギリス人、ペルー人、ブラジル人、チェコ人などと仕事をしたことがありますが、そう言えば彼らから建設業に関してネガティブなイメージを聞いたことがありません。

日本にいると、ともすれば建設業者自体から、建設業について自虐的なネガティブな話がでてくるものです。

海外での建設業界の受け止め方は日本とどう違うのでしょうか?


海外の建設業のイメージはいい?悪い?


と言ってもそんな論文を読んだことがないので、とりあえず"Student Image Survey on the Construction Industry(建設業への学生のイメージ調査)と打って検索したところ、いくつかの論文や記事が出てきました。


例えばこちらの論文は、アメリカのクレムゾン大学の調査ですが、それぞれの年代の子供たちの建設業従事者へのイメージを調査しています。


(Youths’ Perceptions of the Construction Industry: An Analysis at the Elementary, Middle, and High School Levels Shima N. Clarke, Ph.D., PE and Blake J. Boyd, MCSM

Clemson University Clemson, South Carolina) 翻訳:山崎


2011年のデータなのでやや古いですが、概ね良い印象があるような感じがします。中高生のイメージが抜群に低いのが気になりますね。論文中にも7-10歳と大学生には顕著な差はないが、11~18歳とは明確な差がある、と指摘されています。特に15~18歳のイメージがひどいですね。一体全体どうしてなのでしょうか?


この論文面白いのでもうちょっと先まで読んでみましょう。


クレムゾンの建設科学・管理学修士課程の学生が建設業に興味を持ち、その道を志すようになったのはいつ頃か?

という問いでは、以下のような結果になっています。




この先の考察が興味深いので翻訳して引用します。


『プロジェクトマネージャー(日本でいえば事業主側の担当者?監督員?みたいの)に関する問題では、7〜10歳では13%、11〜14歳では16%、15〜18歳では18%しかちゃんと正解できていない。

スーパーインテンダー(日本でいえば現場所長??)については、7-10歳の回答者のうち33%が正解し、11-14歳の回答者のうち30%が正解、15-18歳の回答者のうち23%しか正解できていない。

しかし、建設作業員の仕事については、7-10歳の95%が理解でき、11-14歳の83%が理解できた。』


ちょっとプロジェクトマネージャーとスーパーインテンダーの訳が怪しいですが、つまり、ほとんど子供たちの頭の中にある建設業従事者のイメージが建設作業員であり、小学生のときは格好いい、と思うものの、中高生になるとドカタまじ底辺とイメージが下落していくということのようです。

しかし施工管理の業務に関してはどの年代もちゃんと理解していないので、大学まで行くと施工管理の仕事に詳しく触れて、あ、現場ってスコップ持って泥だらけになる仕事ばかりじゃないんだ、と興味を持ち出す、と。


実際に建設業に携わろうと決めるのは、高校とか大学なわけですから、高校生に対していかにきちんと正確なイメージを伝えるか、ということが非常に重要ということのようです。

こうした論文は日本では見たことがないので参考になりますね。


論文中では、もっとも驚かされた結果の一つは、建設業従事者が信頼されていないことだ、とも言っています。確かにこれは驚きですね。

特に15~18歳の信頼度は27%です。そりゃそんな業界には行きたくないでしょうね。


そう言えば、私が関わってきた海外の技術者はみんな大学出てるような人々でした。なるほど、それなら印象が違ってきて当然ですね。

クレムゾン大学の調査は海外と日本の比較、というよりは、イメージしている仕事が管理側なのか作業員側なのか、という意味での比較ととらえた方がよさそうです。


論文は次のような締めくくられています。


『本調査では、7歳から10歳の若者が、建設業に携わる人々に対して最も良いイメージを持っていることが示された。技能労働者の不足を解消するためには、若年層をターゲットにすることが必要である。建設業に対するイメージが変化する前に、建設業をより身近に感じてもらわなくてはならない。本研究の結果、高校生の建設業に対するイメージは、若年層よりも悪いことを示している。このことは重要である。

というのも、若者の半数は高校生のときに進路を決めるからである』


気の長い話ですが、小学校、中学校の頃からアプローチすることが大事だということですね。しかしこれは地域に根差した建設会社なら長期的な視座として必要なことかもしれません。


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