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  • 執筆者の写真翔 山﨑

なぜ若い人は建設業に来ないのか

更新日:2023年1月17日



最近若い人が建設業に来てくれない、とよく言われます。 これを今の子はきつい仕事を嫌がるから、とか 若い子は苦労を知らないから、と切り捨てるべきではないと思っています。。


どんな仕事だってキツイし、苦労が伴います。

建設業にだけ、人が来ていないのならその理由があるはずです。


たとえばこちらの記事では、建設業の人離れが進むのは、労働に見合った収入が得られないからではないか、と主張しています。

その理由として、内閣府の調査で84.6%の若者が「仕事をするのは収入を得るため」と回答したから、としていますが、むしろそれ以外の理由で仕事している人の方が心配になります。若者に限らず、だいたい誰もが収入のために働いているのではないでしょうか。


視点を変えると、こちらのYahooニュースの記事『非正規社員の人達はなぜ非正規として働いているのだろうか(2021年公開版)』では、「正規の仕事につけなくて仕方なく」非正規雇用を選んでいる人は、わずか男性2割近く・女性1割近くで、男女ともに30%くらいの人は、「自分の都合の良い時間に働けるから」と回答しています。

収入が最大条件なら非正規雇用は選ばないはずで、別の可能性を考えた方がよいと思います。


建設業の収入は低い、は本当?


そもそも建設業は労働に見合った収入が得られない、というのは本当なのでしょうか?

マイナビのサイトに業種別モデル年収ランキングというのがありました。

『1位「投資信託委託・投資顧問」(1,559万円)、2位「外資系金融」(1,523万円)、3位「金融総合グループ」(860万円)と、いずれも「金融・保険」に分類される業種が上位にな』っていますが、「住宅・建材・エクステリア」が7位、「建設コンサルタント」が18位、「建設・土木」が20位と善戦しています。

19位が「政府系金融機関」、21位が「銀行」となっていますから、むしろ建設業は収入としては優秀な部類です。


問題は長時間労働、は本当?


収入が問題ではないとすると、何が問題なのでしょうか?国交省は長時間労働等の労働条件が問題ではないか、と考えています

先ほどの2つの記事を勘案すると、これは妥当そうです。 つまり、建設業は長時間労働が原因で①労働に見合った収入がない、②自分の好きな時間で働けない、と感じられるということのようです。


国交省の資料をもう少し深掘りしてみましょう。

これは定着率の資料なので採用の資料とは違いますが、このグラフでは、若年技能労働者が定着しない理由を、企業側と離職者側で比較したものです。 以下、個別の回答を見ていきましょう。



休みが取りづらい

企業側 23.5% 離職者側 8.4%


企業側の認識23.5%なのに対して、離職者は8.4%と乖離があります。 どうやら休みが取りづらいことは企業が思っている程の理由にはならないようです。


作業がきつい

企業側 42.7% 離職者側 5.1%


なんと企業側の42.7%に対して離職者は5.1%。 冒頭に書いた若者は根性ない論の反証になりますね。



作業に危険が伴う

企業側 19% 離職者側 6.7%


これも乖離が大きいです。若者は根性ない論の(ry


作業環境が悪い

企業側 11.9% 離職者側 3.9%


若者は根性(ry


現場での人間関係が難しい

企業側 24.9% 離職者側 5.6%


若者(ry


ここまで見る限り、仕事がきついとか仕事に馴染めないみたいなものが理由の大半ではない事が分かります。


労働に対して賃金が低い

企業側 24.2% 離職者側 6.9%


企業側との乖離がこれも大きいですね。


ひと月の仕事量によって賃金額が変動する

企業側 12.7% 離職者側 6.2%


入職前のイメージとのギャップがある

企業側 13.7% 離職者側 1.1%


技能・技術の習得が乏しい

企業側 21.2% 離職者側 1%


職業意識が低い

企業側 40.8% 離職者側 0%


・・・・・・・・。

こうして見ると、企業側は「最近の若者は根性がないし、仕事にプライドも持ってないし、技術を覚えようとしないし、実際の現場の大変さを知ってやめていくんだ」としたいのですが、これが実態をまるで捉えていなそうだと言う事がわかります。


むしろ注目したいのは、離職者側の最大の理由が、「その他11%」であることです。企業側のその他は4.5%です。このアンケート自体が、離職者側の不満の実態を反映できていないことになります。


これは企業側の決めつけからくる無理解が原因である事を示していないでしょうか?離職者の離職理由が多様に分布しているのに対して、企業側の理由は多様性に欠けます。


結論としては耳が痛い話ですが、若者たちからしっかりとフィードバックを受けて独りよがりにならない職場環境の改善をしていくという、マネジメントの基本みたいな事が欠けているのかな、と思います。耳の痛い話ですね。


結局、どうしたら若い人が建設業に来てくれるだろうか?

国交省の資料は定着率にフォーカスしたものなので、採用とは文脈が違いますが、建設業が特殊だから人が定着しない、というよりは、建設業界もしっかりとマネジメントをしないとだめだよ、ということは感じ取れました。やはり徒弟制度のような文化が根強いので、なかなか下から意見が言いにくいというのもあるのではないでしょうか。


一方で、建設業の特殊要因が最大の問題ではないとするなら、一般解が建設業にも適応されると考えることもできます。


こちらのサイトでは、『【転職先の決め手ランキング】転職経験者500人アンケート調査』を掲載しています。




意外というべきか、やはりというべきか、希望する仕事内容だった、が1位となりました。

2位が収入に納得した、3位が勤務時間・休日数がよかった、となっていて、やはり中盤で議論した、建設業は長時間労働が原因で①労働に見合った収入がない、②自分の好きな時間で働けない、と感じられるというのが原因とみて良さそうです。


こうした内容を十分に受け止めて、今後の採用活動を考えていきたいですね。


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